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マイファーストジュエリー
記憶の輝き
子供の頃の記憶。
お洒落な母は出かける時、常にジュエリーを身につけていた。
優しいきらめきと大人の優雅さ。
母の隣で歩く私にとって、それは自分の誇りでもあった。
幼い夢は時間と共に形を変え、大人になった私は現実の生活に溶けていった。
恋──挫折──成長
喜び──虚しさ──時の流れ
仕事にも慣れ、充実した日々の中で鏡の中の自分を見つめる。
不幸ではなかった。だが幸福でもなかった。
あいまいな私。
ふと思い出す幼い頃。
純粋に満たされていた淡い記憶。
母のジュエリーのきらめき。
夢。憧れ。
それは子供の時の自分との約束。
見慣れた景色から離れ、新しい何かを見たいと思い、ひとり旅に出かけた。
自由な空気に心を開く。
電車から眺める新鮮な空と海。
音楽を聴きながらコーヒーを飲む。
そばにあるのは古い小説。
そして初めて買ったジュエリー。
いつもと違う風の中で、私は満たされていた。
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