結婚して1年。

その記念に買って貰った薔薇の指輪。

指元に上品に咲く、優しい愛。

付き合ったばかりの頃にデートで行ったローズガーデンを思い出す。

心に蘇る優雅な香りと新鮮な気持ち。

 

──久々に行ってみたいね──

 

薔薇の季節は終わりを迎えていたが、懐かしいローズガーデンにはまだ鮮やかな色彩が残り、夫婦となった私たちを柔らかく歓迎してくれた。

薔薇の広がる景色を眺めながらカフェで紅茶を飲む。ティーカップを持つ度に指輪に視線を誘われ、心は小刻みにときめいた。

澄んだ風を感じながら、今までの二人を見つめ、これからの二人を想う。

華やかな香りもあれば棘の痛みもあった。

咲き誇る喜びもあれば枯れてゆく寂しさもある。

それでも常に美しさは存在する。

色はうつろいながらも、私たちの幸福は咲き続けるだろう。