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  • 執筆者の写真Kyohei Hayakawa

「どんなものを食べているかを言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言い当ててみせよう」

「どんなものを食べているかを言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言い当ててみせよう」

これはフランスの美食家ブリア=サヴァランの言葉。 人は常に触れているものによって、その人格や感性は形成されるものです。

頻繁にジャンクフードを食べている人と日々丁寧な食生活を送っている人とでは美意識が違ってくるのは当然です。 クラシック音楽が好きな人とパンク・ロックが好きな人とではファッションや言葉遣いも変わりますが、彼らが書く文章や撮る写真、描く絵もそれぞれの感性から大きく違った創作になるでしょう。

映画監督の黒澤明は「創造とは記憶である」と語りましたが、表現はその人がそれまでに触れてきたものを凝縮した光であるように感じます。 ピアノの一音でさえも、大げさに言ってしまえば表現者の生き方の象徴です。

さらに映画監督のフェデリコ・フェリーニの言葉を引用すれば「全て芸術は自伝的なものだ。真珠は、真珠貝の自伝なのだ」というものがあり、皆それぞれの生き方から美しい真珠を生み出しているのだと思います。

ジュエリーは古代より存在するものであり、その小さな面積で表現されるデザインなどは幾度も繰り返されています。 それでも現代の作家によって生み出されたものを現代の人間が身につけ、今この瞬間に生きる喜びを感じるのは尊いことだと信じます。

同じリボンのジュエリーでも、300年前にデザインされたものと現代にデザインされたもの、退廃的な人間が生み出したものと健全な人間が生み出したものとではその美しさも変わってくるでしょう。

一本の線から美の喜びを生み出すデザイナーとして、いかなる時も自分の美意識を鍛え上げること、常に美しいものに触れ、学び続けることは義務であるかと思います。
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