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  • 執筆者の写真Kyohei Hayakawa

センチメンタルジュエリー

更新日:2022年1月26日

ジュエリーには自身を美しく飾ると同時に、大切な人との思い出の形ともされます。

アンティークのジュエリーの中には「センチメンタルジュエリー」と呼ばれる世界があります。

19世紀にヨーロッパで流行した、個人的な感情や思い出をジュエリーに込めたものです。装飾のモチーフや素材など、あらゆる要素にその想いを宿して大切な人に贈られました。

センチメンタルジュエリーの様式の代表として、

「メッセージジュエリー」「モーニングジュエリー」があります。



メッセージジュエリー

宝石による文字遊びで想いを伝えたものを「メッセージジュエリー」と呼びます。

「リガード装飾」というスタイルがよく知られ、

英語の「REGARD」(敬愛、愛情の意味)を表現するために、


「ルビー、エメラルド、ガーネット、アメシスト、ルビー、ダイヤモンド」


を並べてデザインしたジュエリーです。

それぞれの頭文字(Ruby, Emerald, Garnet, Amethyst, Ruby, Diamond)

をつなげて「REGARD」をあらわし、大切な人へ愛を伝えました。


《リガードパドロックペンダント》1820〜30年頃


現在でもフルオーダーの際、ご主人が奥様へプレゼントする記念のジュエリーの中に、

奥様の名前の頭文字をつなげた石を使用することもたまにあります。

隠れたメッセージとして、控えめで上品な愛の表現です。



モーニングジュエリー

亡くなった人への愛を表現する装飾品が「モーニングジュエリー」です。

「モーニング」は朝のモーニングではなく、英語の「mourning」(悲嘆、哀悼の意味)。大切な人を亡くし、喪に服す期間に身につけられました。

故人の髪の毛をジュエリーの中に入れたものや、漆黒の宝石ジェットやブラックエナメルなどの黒いジュエリーを指します。

19世紀、当時ファッションリーダーでもあったイギリスのヴィクトリア女王が最愛の夫アルバート公を亡くした時にモーニングジュエリーを身につけ、そのような文化が広まりました。


《ジェットを身につけたヴィクトリア女王と長女ヴィクトリア》1888年






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