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  • 執筆者の写真Kyohei Hayakawa

マレーネ・ディートリッヒ 耽美とエレガンスの女神




久々にマレーネディートリッヒの映画を鑑賞。

1933年の作品『恋の凱歌』。



『恋の凱歌』監督:ルーベン・マムーリアン(1933年)


大女優マレーネディートリッヒの魅力がつまった作品。

初々しく純情な娘が、愛の裏切りによって妖艶な夜の女性へと変わっていく姿を見事に演じています。

前半の若きディートリッヒの可愛らしさ。後半のファムファタール的な妖しい美しさ。

彼女の顔がアップで映るたびにため息がもれます。






マレーネ・ディートリッヒはドイツ出身の女優であり歌手でもありました。

1930年代からはハリウッド映画に出演するようになり、独特で退廃的な美貌と官能的な歌声、「100万ドルの脚線美」と称されたエロティシズムから世界的なスターとなります。



戦争が近づきドイツではヒトラー率いるナチスが台頭する時代に。

ヒトラーはお気に入りであった女優のディートリッヒへドイツに戻るよう要請しますが、ナチスを嫌った彼女はそれを拒否。さらにアメリカの市民権も取得したため、ドイツでは彼女の映画は上演中止となりました。


戦後しばらくしてから故郷ドイツでリサイタル公演を行った際は、伝説的スター凱旋の歓迎と、裏切り者としての非難との両方の声があったとされています。

現在の歴史観で見れば、命の危険も顧みず自らの強い意思を貫いた偉大な女性として映ります。



三島由紀夫はディートリッヒを「厚化粧をしたドイツのおかめ」と酷評(口が悪い......)。当時ライバルとして比較されたスウェーデン出身のグレタ・ガルボは、完璧なまでの造形美を持った伝説的女優。

ディートリッヒはガルボに比べれば絶世の美女ではありませんでした。



グレタ・ガルボ


しかしディートリッヒの持つ独特の気品や優雅さ、絶対的な自己を持った強い生き方、そして映画の中に残した圧倒的な魅力はいつまでも私を感動させます。


耽美とエレガンスの女神として、マレーネ・ディートリッヒは私の心に存在しています。




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