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  • 執筆者の写真Kyohei Hayakawa

モディリアーニ 愛の詩としての絵画


モディリアーニ《赤い肩掛けを着たジャンヌ・エビュテンヌ》1917年


モディリアーニの描く線には詩を感じる。

その詩には悲しみがあり愛がある。

モディリアーニの絵が世界中で長く愛されるのは、そのような普遍的な感情を躊躇なく素直に表現しているからと思う。



モディリアーニと竹久夢二。

私の愛する二人の芸術家には共通する美意識を感じる。

画家たちは文学的才能に優れ、女性美に芸術の理想を求め、最愛の女性によって自分たちのスタイルを生み出していった。


彼らにとって絵画は愛の詩であり、悲しみの物語であった。

愛する妻。芸術家としての評価。病弱な肉体。

喜びと苦悩。

満たされていることと、どうしても手に入れられないもの。

現実への心の揺らぎが筆に表れ、センチメンタルなオーラが生まれている。



モディリアーニ《ジャンヌ・エビュテンヌの肖像》1918年


モディリアーニの生涯は映画化もされている。

『モンパルナスの灯』(1958年)

『モディリアーニ 真実の愛』(2004年)

どちらも素晴らしい作品である。


モディリアーニを演じたジェラール・フィリップとアンディ・ガルシアは、画家の矜持と繊細さをそれぞれの演技で見事に伝えている。

妻ジャンヌ・エビュテルヌを演じたアヌーク・エーメとエルザ・ジルベルスタインもアンニュイと純粋性があり美しい。



モディリアーニはその人生も作品のひとつであった。

その生き方は絵画となり、絵画の中の理想は現実の人生につながっている。


画家にとって一本の線には物語が存在する。

それを感じ取ることも美を鑑賞するものにとって大切な感性かと思う。


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