Kyohei Hayakawa
梅の花 風流な記憶
2月の誕生花、梅。
花言葉は「不屈の精神」、「高潔」。
色によって紅は「優美」、 白は「気品」という花言葉もあります。
私の育った東京の下町・亀戸は、菅原道真(すがわらのみちざね)を祀る亀戸天神社がよく知られます。
境内は季節の花で彩られ、花の名所としても人気の場所。
4月の藤まつり、10月の菊まつり、そして2月は梅まつりが開催され、その景色は風流な記憶として私の中に残っています。
藤や菊の華やかさに対し、ほのかに散らばる色彩は梅の控えめな気品を表します。
そこには冬の厳しい寒さから春の華やかさへと移り変わる季節の物語が感じられます。

亀戸の梅といえば、歌川広重の浮世絵《名所江戸百景 亀戸梅屋敷》も有名です。
かつて亀戸にあった梅園の景色を大胆な構図で描いた作品。
19世紀後半浮世絵ブームの起こっていたヨーロッパでは、画家のゴッホもこの作品に感銘を受け、油絵による模写も描いています。

ゴッホが亀戸の風景を描いているというのも、奇妙な感覚とともに喜びも感じさせます。
梅の花の優美な色彩。枝の生命力溢れるフォルム。
芸術と花の、文化を越える美しさを伝えてくれる作品でもあります。