top of page
  • 執筆者の写真Kyohei Hayakawa

イエロー




イエローの宝石の美しさを知ったのは、有名なティファニー・ダイヤモンドを見た時です。

オードリー・ヘプバーンが映画『ティファニーで朝食を』のプロモーションで身につけたことでも知られる、128.54カラットの巨大なイエロー・ダイヤモンド。

普段はニューヨーク5番街にあるティファニー本店で常設展示されているダイヤモンドですが、以前銀座のティファニーで期間限定の展示が行われた際に実物を見に行きました。

鮮やかなイエローとまばゆい輝き。

宝石の圧倒的な存在感に感動したと同時に、イエローの美しさにも気づいた瞬間でした。


イエロー・ダイヤモンドのような激しい輝きだけでなく、シトリンのような優しいイエローにも美しさがあります。

「太陽の象徴」「幸福の石」ともされるシトリン。

その穏やかなきらめきには静かな希望の輝きも感じます。



シトリン


シトリンの語源ははフランス語の「citron(シトロン)」。

これはレモンを意味し、その黄色い輝きからつけられました。

レモンで連想するのは、梶井基次郎(かじいもとじろう)の小説『檸檬』(れもん)。

憂鬱な気分の主人公が果物屋でふとレモンを見つけ、その鮮やかなイエローに感動をするという不思議な小説です。

物語の終わりには、主人公は立ち寄った書店の本棚にレモンを置き、そのレモンを爆弾と見立て、書店が大爆発することを空想しながら逃げていくという描写があります。

謎の多い作品ではありますが、作家はレモンの色に退廃的な破滅と再生への希望を見たのではないかと思います。

全てを吹き飛ばすような爆発的な感動。

その圧倒的な美がイエローには秘められているのかもしれません。


bottom of page