Kyohei Hayakawa
鳩

鳩は古くから天と地を行き来する「神の使い」であり、霊的な存在とされました。
ギリシャ・ローマ神話では愛と美の女神アプロディーテー(ヴィーナス)に寄り添う鳥であり、その無垢な姿は愛と平和の象徴として描かれました。そのイメージは現在でも広く伝わっています。
また、キリスト教においても聖霊を意味し、キリストの魂や聖母マリアを象徴する存在として多くの美術に表されました。
鳩を描き続けた画家としてパブロ・ピカソが挙げられます。 戦争に対し芸術によって平和を訴えたピカソは、鳩の作品を数多く残し、その想いを世界へ広めました。 また、画家であった父が鳩を深く愛した人物であり、その影響で幼い頃から鳩のスケッチを好み、晩年には家に鳩小屋も作っています。そして娘にはスペイン語で鳩を意味する「パロマ」と名付け、彼女は後にティファニーのデザイナーとして知られるようになりました。 ピカソにとって鳩は幼い頃の大切な記憶であり、何ものにも代え難い美の象徴でもありました。
