Kyohei Hayakawa
My Story 香水

香りは官能的な芸術。
ジュエリーと香水のふたつの美しさが出会う瞬間は優雅である。
定番であるランバン『エクラ ドゥ アルページュ』やカルバン・クライン『エタニティ』あたりを好み、気分を上げたい時にはランセ『ル・ヴァンカー』をつける。
だが私にとって何よりも特別な香水は『セルジュ・ルタンス』である。
「フランスの知性・哲人」とも称され、化粧、写真、映像の分野でも独自の美を表現するマルチ・アーティスト、セルジュ・ルタンス。
彼の生み出す香水には詩的な物語があり、耽美の世界に誘われる。
もともと香水にはあまり関心のなかった私。
ある日セルジュ・ルタンスの写真展の広告を見つける。
そのイメージに強く惹かれた私は、会場へ行くとその圧倒的な美の世界に陶酔した。
そして彼を通じ、香水という芸術表現の素晴らしさも知った。
セルジュ・ルタンスの香水を色々試し、香りの微妙な表情の違いも少しずつ知り、新しい美の世界を感じることができた。
好みは『ローセルジュルタンス』、『ラフィーユドゥベルラン』、『サマジェステラローズ』。
彼の芸術に傾倒した私は、パリにあるセルジュ・ルタンス本店にも行った。
自身でデザインしたという内装は、黒と紫によるあまりにも耽美な世界を表現している。
それは夢のような空間であった。
香水をつけることは、自分を美しい物語の中に溶け込ませることでもある。
私の創作するジュエリーもそうした美しさを求めている。
美を享受する人間の五感は、様々な表現での感動を欲している。